7歳の侯爵夫人

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『体調が戻ったので、少し静養したらこちらからお伺いしたいと思います』
コンスタンスは手紙を書き、丁重に、王妃の見舞いを断った。
それを受けて、王妃はあらためて半月後のお茶会に彼女を招待してきた。
「半月後ね…。準備には十分だわ」

その日から、コンスタンスは肌や髪の手入れを入念にするようになった。
肌に良いものを食べ、よく寝て、軽い運動もするようになった。
この2ヶ月以上お洒落もせず、着の身着のままで邸に引きこもっていた令嬢とは別人のようである。
王妃や王太子に会うなら、落ち込んで惨めな女に見られたくないと思ったのだ。

今のコンスタンスは、婚約解消の時どんなにフィリップが哀しみ、悩んでいたかなんて知らない。
彼のことだから、おそらく悩み苦しんだのであろうことは容易に想像できるが、それでも、王太子妃になるはずだった自分を側妃に望むなど、冗談じゃないと思う。
隣国から嫁いできた王女に対しても失礼だ。

「お茶会には完璧な淑女として参加しますわ。そして、幸せな侯爵夫人を演じて参ります。それが、私にとっても殿下にとっても、ひいては国にとっても、一番いい終幕だと思うの」
「それでこそコニーだ!」

兄エリアスは妹に拍手を贈った。
本来、コンスタンスは打たれ強く前向きな少女である。
長年のお妃教育で押さえ込まれてきた弊害で感情に乏しく見えるが、元々喜怒哀楽もはっきり表す子供だった。

前を向き始めた妹にかつての妹を重ね、エリアスは目を細めた。
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