7歳の侯爵夫人
いざ、王宮へ

1

王妃とのお茶会当日、コンスタンスは母とエリアスに伴われ、王宮へ向かった。
コンスタンスの記憶の上では3ヶ月前まで毎日のように通っていた王宮であるが、実際には約2年ぶりの登城になる。

馬車の窓から外を眺めていたコンスタンスは、王宮が近づいてくるにつれ、気が重くなっていくのを感じていた。
そんな娘の横顔を見ながら、公爵夫人はフッとため息を漏らした。

「王妃様にも困ったものね。ここまでコニーに執着するなんて」
「執着…、ですか?」
コンスタンスが驚いたように言葉を繰り返す。

たしかに王太子の婚約者として、未来の嫁として、かなり可愛がってもらっていたとは思う。
婚約解消後に躍起になってコンスタンスの結婚相手を探したのも、こうして無理矢理会おうとするのも、実の娘のように思ってくれているからではないのだろうか。

「たしか…、母上と王妃様はご友人だったのですよね?」
エリアスが母にたずねた。
コンスタンスが王太子の婚約者に選ばれる時、友人の娘であるからと王妃が力強く推したとも聞いている。
しかし母は少し気まずそうに首を竦めた。

「たしかに友人であったけれど…、実は私たちは、恋のライバルでもあったのよ」

「「……は?」」
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