7歳の侯爵夫人
2
王宮のエントランスでは、騎士姿で任務につくオレリアンが待っていた。
出迎える騎士の中に夫の姿を見とめ、コンスタンスはホッとしたように微笑んだ。
しかし馬車から降りて来るコンスタンスに手を差し伸べたオレリアンは、彼女を一目見て思わず固まった。
この日のコンスタンスは、あまりにも美しかったのだ。
いや、庭で散歩する彼女も犬と戯れる彼女も美しいが、王妃とのお茶会に臨むために着飾ったコンスタンスは声にならないほど美しい。
ハーフアップにされた銀色の髪は緩く下ろされ、ほっそりとした首にはかつてオレリアンが贈ったエメラルドのネックレスが輝いている。
「…オレリアン様?」
訝しげに首を傾げた妻に、オレリアンは苦笑した。
「失礼。貴女があまりにも美しいから、目を奪われておりました」
「まぁ、お戯れを」
はにかんだように笑ったコンスタンスに、周りの騎士たちも思わず息を飲んだ。
以前よく目にしていた、王太子の婚約者としての公爵令嬢の、貼り付けたような笑顔とは明らかに違っていたからだ。
公式の場でしか見たことがないのだからかつての彼女が公的な顔しか見せなかったのは当然であるだろうが、それにしても今の彼女は、夫を見るなり頬を緩ませ、安心しきった笑顔を見せている。
一方のオレリアンも、妻の姿を目にするなり、いつもの騎士の顔とは違い、緩んだ顔を晒していた。
なんとか引き締めようとはしているようだが、妻の笑顔を見て舞い上がっているのは明らかだ。
(やっぱり、不仲説や離縁説はガセネタか…)
騎士仲間の、同僚夫妻を見ての共通認識が変わった瞬間である。
出迎える騎士の中に夫の姿を見とめ、コンスタンスはホッとしたように微笑んだ。
しかし馬車から降りて来るコンスタンスに手を差し伸べたオレリアンは、彼女を一目見て思わず固まった。
この日のコンスタンスは、あまりにも美しかったのだ。
いや、庭で散歩する彼女も犬と戯れる彼女も美しいが、王妃とのお茶会に臨むために着飾ったコンスタンスは声にならないほど美しい。
ハーフアップにされた銀色の髪は緩く下ろされ、ほっそりとした首にはかつてオレリアンが贈ったエメラルドのネックレスが輝いている。
「…オレリアン様?」
訝しげに首を傾げた妻に、オレリアンは苦笑した。
「失礼。貴女があまりにも美しいから、目を奪われておりました」
「まぁ、お戯れを」
はにかんだように笑ったコンスタンスに、周りの騎士たちも思わず息を飲んだ。
以前よく目にしていた、王太子の婚約者としての公爵令嬢の、貼り付けたような笑顔とは明らかに違っていたからだ。
公式の場でしか見たことがないのだからかつての彼女が公的な顔しか見せなかったのは当然であるだろうが、それにしても今の彼女は、夫を見るなり頬を緩ませ、安心しきった笑顔を見せている。
一方のオレリアンも、妻の姿を目にするなり、いつもの騎士の顔とは違い、緩んだ顔を晒していた。
なんとか引き締めようとはしているようだが、妻の笑顔を見て舞い上がっているのは明らかだ。
(やっぱり、不仲説や離縁説はガセネタか…)
騎士仲間の、同僚夫妻を見ての共通認識が変わった瞬間である。