7歳の侯爵夫人
やっと抱擁を解いた王妃にすすめられ、コンスタンスは椅子に腰掛けた。
侍女がお茶を淹れて部屋を出て行くと、王妃と2人きりになる。
王妃は優雅な仕草で、お茶を一口飲んだ。
「ごめんなさいね、コンスタンス。フィリップから聞いたわ。ヒース侯爵との縁談…、私は貴女に良いと思ってすすめたのだけれど、不幸な結婚になってしまったのですってね。本当に申し訳なかったわ」
痛ましそうにコンスタンスを見る王妃の言葉に、嘘はないのだと思う。
しかし王妃は言葉を切ると、フッと、興味深そうにコンスタンスを見つめた。
「記憶を失っていると聞いていたけど、今の貴女は7歳ではないようね」
やっぱり王妃はコンスタンスの記憶喪失を知っていた。
7歳までの記憶しかなかったことも。
「ええ。事故に遭って一時期記憶を失ったのですが、今はすっかり戻りましたわ」
コンスタンスは注意深く今の状況を告げた。
「そうだったのね。可哀想に」
「いいえ。もう本当に良くなりましたの。王妃様のお心を乱すようなことも何一つございませんわ。夫とも、仲良く過ごしております」
そう言ってニッコリ笑って見せると、王妃は悲し気に瞳を揺らした。
侍女がお茶を淹れて部屋を出て行くと、王妃と2人きりになる。
王妃は優雅な仕草で、お茶を一口飲んだ。
「ごめんなさいね、コンスタンス。フィリップから聞いたわ。ヒース侯爵との縁談…、私は貴女に良いと思ってすすめたのだけれど、不幸な結婚になってしまったのですってね。本当に申し訳なかったわ」
痛ましそうにコンスタンスを見る王妃の言葉に、嘘はないのだと思う。
しかし王妃は言葉を切ると、フッと、興味深そうにコンスタンスを見つめた。
「記憶を失っていると聞いていたけど、今の貴女は7歳ではないようね」
やっぱり王妃はコンスタンスの記憶喪失を知っていた。
7歳までの記憶しかなかったことも。
「ええ。事故に遭って一時期記憶を失ったのですが、今はすっかり戻りましたわ」
コンスタンスは注意深く今の状況を告げた。
「そうだったのね。可哀想に」
「いいえ。もう本当に良くなりましたの。王妃様のお心を乱すようなことも何一つございませんわ。夫とも、仲良く過ごしております」
そう言ってニッコリ笑って見せると、王妃は悲し気に瞳を揺らした。