7歳の侯爵夫人
王太子フィリップが部屋を出た後、コンスタンスは王妃に勧められ、再び向かい合って座っていた。
まるで何事もなかったかのように、王妃は侍女に指示して、違う飲み物を運ばせている。
そしてテーブルの上には、小さな一口大の菓子類と、甘い香りのする飲み物が置かれた。

「なんだか気疲れしてしまったでしょう?甘いものでも召し上がって?」
運ばれてきたのはホットチョコレートだった。
かつてのお妃教育の合間にも、王妃がよく
「疲れたでしょう?」
と差し入れてくれたものだ。

口を付ければ、控えめの甘さとほろ苦さが溶け合っていく。
とても美味しいのであろうが、今のコンスタンスには全く味がわからなかった。

「私はね、コンスタンス。本当に貴女が可愛かったのよ」
ホットチョコレートに口を付けるコンスタンスに、王妃は微笑んで見せた。

「だって初恋の人と親友の娘なんだもの、可愛くないはずがないでしょう?」
とうとう王妃はそんな言葉を口にしたが、母から聞いていたコンスタンスに驚きはなかった。
だが、次に出た言葉には、驚愕し、目を見開いた。

「だからね?貴女がフィリップ以外の男と幸せになるなんて、許せないのよ」
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