7歳の侯爵夫人
婚約解消の話があってから受け入れる直前、殿下と一度だけ会う機会がございました。
解消されてしまえば、もう二度と2人で会うことも、話すことも叶わない私たちですから。
殿下はおっしゃいました。
『私は君と、一緒になりたかったよ』と。
その悲しそうな瞳を見て、私はあらためて胸を抉られるような悲しみを覚えました。
それまで当たり前のようにお側にいたから、これほどお慕いしていると、自分で気づいていなかったのかもしれません。
私も彼と一緒になりたかった。
王太子妃や王妃になりたかったのではなく、彼の妻になりたかった。
でも、結局私はその時もただ泣くばかりで、何も言葉に出来ませんでした。
『お慕いしていた』と、『貴方の妃になりたかった』と、それを伝えて、どうなると言うのでしょう。
でも、何も言わなくとも、殿下は私の心をわかっていてくださったでしょう。
『ごめんね』
そう言うと、殿下は私の銀色の髪を一房取り、愛おしそうに口付けました。
『私はこの国の王太子だ。国益に背くことは出来ないと、理解して欲しい』
私は黙って頷きました。
『私はこれから、新しい婚約者に誠を尽くすつもりだ。君もどうか、幸せになって欲しい』
こうして2人で会えるのは最後なのだから、殿下のお顔をよく目に焼きつけたいと思いました。
でも、悲しいことに、涙で殿下のお顔が見えません。
解消されてしまえば、もう二度と2人で会うことも、話すことも叶わない私たちですから。
殿下はおっしゃいました。
『私は君と、一緒になりたかったよ』と。
その悲しそうな瞳を見て、私はあらためて胸を抉られるような悲しみを覚えました。
それまで当たり前のようにお側にいたから、これほどお慕いしていると、自分で気づいていなかったのかもしれません。
私も彼と一緒になりたかった。
王太子妃や王妃になりたかったのではなく、彼の妻になりたかった。
でも、結局私はその時もただ泣くばかりで、何も言葉に出来ませんでした。
『お慕いしていた』と、『貴方の妃になりたかった』と、それを伝えて、どうなると言うのでしょう。
でも、何も言わなくとも、殿下は私の心をわかっていてくださったでしょう。
『ごめんね』
そう言うと、殿下は私の銀色の髪を一房取り、愛おしそうに口付けました。
『私はこの国の王太子だ。国益に背くことは出来ないと、理解して欲しい』
私は黙って頷きました。
『私はこれから、新しい婚約者に誠を尽くすつもりだ。君もどうか、幸せになって欲しい』
こうして2人で会えるのは最後なのだから、殿下のお顔をよく目に焼きつけたいと思いました。
でも、悲しいことに、涙で殿下のお顔が見えません。