7歳の侯爵夫人
コンスタンスは驚いたように目を見開き、夫の顔を見つめた。
今にも泣き出しそうな目で懇願する彼に、本心からの言葉だとわかる。
それを、信じられるとも思っている。

でも、償い?
夫が離縁したくないのは、私に負い目があるから?
彼は、償うために私と一緒にいたいの?

コンスタンスは混乱した。
彼が愛しているのはセリーヌのはずだ。
そもそも、政略結婚の犠牲者である彼に罪などあるはずもなく、償うことも何一つ無いのだ。

ここで、コンスタンスさえ身を引けば彼は愛する人と結婚出来る。
そう、全て丸く収まるのだ。

コンスタンスは自分の手を包み込む夫の手を見つめた。
そして、静かに引き抜いた。

「…コニー…?」
オレリアンが顔を歪ませる。
そんな夫を見据え、コンスタンスは口を開いた。

「セリーヌ様は、どうされたのですか?」
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