7歳の侯爵夫人
俺がセイの方を見ると、彼は瞼いっぱいに涙を溜め、俺を睨みつけた。
「旦那様はあんまりだ!奥様が可哀想過ぎる!奥様は少なくとも二度、旦那様に贈り物をしています!」
「…二度…?」
そんなことを言われても、俺には本当に身に覚えがないのだ。
逆に、贈り物をしたのに礼状も返さないのはコンスタンスの方ではないか。
すると、背後に立っていたダレルが
「あ…っ、まさか…!」
と声を上げた。
「…まさか?」
ダレルを見上げると、口を押さえ、眉間に皺を寄せている。
それを見て、俺はダレルが言わんとしたことに思い当たった。
「まさか…、また、義母上か?」
「…まだ憶測の域を出ませんが、おそらく大奥様の仕業でしょう」
「…なるほど…」
マテオの口調が静かになった。
しかし、それは凍り付くような冷ややかさだ。
「あなたは本当に愚かですね、旦那様。一体何度同じことを繰り返すのですか?」
マテオの心底軽蔑したような言葉に、俺は唇を噛んだ。
不敬だと、マテオを怒る気は毛頭ない。
彼は長年仕えていたにもかかわらず、己のクビを賭けて俺に苦言を呈してくれているのだから。
「旦那様はあんまりだ!奥様が可哀想過ぎる!奥様は少なくとも二度、旦那様に贈り物をしています!」
「…二度…?」
そんなことを言われても、俺には本当に身に覚えがないのだ。
逆に、贈り物をしたのに礼状も返さないのはコンスタンスの方ではないか。
すると、背後に立っていたダレルが
「あ…っ、まさか…!」
と声を上げた。
「…まさか?」
ダレルを見上げると、口を押さえ、眉間に皺を寄せている。
それを見て、俺はダレルが言わんとしたことに思い当たった。
「まさか…、また、義母上か?」
「…まだ憶測の域を出ませんが、おそらく大奥様の仕業でしょう」
「…なるほど…」
マテオの口調が静かになった。
しかし、それは凍り付くような冷ややかさだ。
「あなたは本当に愚かですね、旦那様。一体何度同じことを繰り返すのですか?」
マテオの心底軽蔑したような言葉に、俺は唇を噛んだ。
不敬だと、マテオを怒る気は毛頭ない。
彼は長年仕えていたにもかかわらず、己のクビを賭けて俺に苦言を呈してくれているのだから。