許されるなら一度だけ恋を…
「桜、居るか?」
噂をすればなんとやら……障子の向こうから蒼志の声が聞こえてきた。
「桜さん居ますよ。どうぞお入り下さい」
返事をしない私の代わりに奏多さんが蒼志に声をかける。すると障子が開き、蒼志が姿を現した。
「あれ、お前片付けの手伝いに来たんじゃないのか?」
奏多さんの前に正座する私を見て、蒼志は嫌味ったらしく言う。
「いいでしょ別に。それで用件は?」
「あぁ、さっき山本様から電話があって、急で悪いけど明日の朝、家まで着付けに来てくれないかって桜を指名してるんだ。行けるか?」
山本様はお喋り好きの中年女性でいつも私を指名してくれる呉服屋のお得意様だ。
「分かった。山本様には私から折り返し連絡するわ。明日は直で山本様のお宅に行くから」
「おう、頼んだ」
蒼志は仕事の連絡が終わると直ぐに茶室を出て行った。
「噂をすれば人って来るんですね」
蒼志が出て行った後、奏多さんがそう言って微笑むから私もつられて微笑んだ。
噂をすればなんとやら……障子の向こうから蒼志の声が聞こえてきた。
「桜さん居ますよ。どうぞお入り下さい」
返事をしない私の代わりに奏多さんが蒼志に声をかける。すると障子が開き、蒼志が姿を現した。
「あれ、お前片付けの手伝いに来たんじゃないのか?」
奏多さんの前に正座する私を見て、蒼志は嫌味ったらしく言う。
「いいでしょ別に。それで用件は?」
「あぁ、さっき山本様から電話があって、急で悪いけど明日の朝、家まで着付けに来てくれないかって桜を指名してるんだ。行けるか?」
山本様はお喋り好きの中年女性でいつも私を指名してくれる呉服屋のお得意様だ。
「分かった。山本様には私から折り返し連絡するわ。明日は直で山本様のお宅に行くから」
「おう、頼んだ」
蒼志は仕事の連絡が終わると直ぐに茶室を出て行った。
「噂をすれば人って来るんですね」
蒼志が出て行った後、奏多さんがそう言って微笑むから私もつられて微笑んだ。