許されるなら一度だけ恋を…
失恋の後なのに
蒼志に失恋してからというもの、私と蒼志の関係は特に変わりなく良好といえば良好だ。
「はぁ」
「桜、最近ため息の数が増えたんじゃないか?まさかまだ失恋引きずってんの?」
呉服屋で仕事中、蒼志はニヤケながらため息をつく私の顔を覗き込んできた。
「そんな訳ないじゃない。きちんと吹っ切れてます」
私はプィッと蒼志から顔を背ける。本当に蒼志の事は吹っ切れてるし、失恋の傷もそんなには残ってないと思う。
「じゃあどうしたんだよ?話ぐらいは聞くぜ」
「……自分でも分からないのよ。何で気分が落ち込んでいるのか」
「何だよそれ。どうしようもねぇな」
そんな事言われても本当なんだから仕方ないじゃない。どうしちゃったかな、私。
そんな会話をしていると、呉服屋の戸が開きお客様が入ってきた。
「いらっしゃいませ」
私と蒼志はパッと瞬間的に笑顔になりお客様を迎え入れる。
「こんにちは」
呉服屋に来たのは奏多さんだった。いつもの甘いフェイスでニコッと挨拶すると、用事があって来たのか蒼志と何やら話をしている。私は少し離れたところで二人を見ていた。
「はぁ」
「桜、最近ため息の数が増えたんじゃないか?まさかまだ失恋引きずってんの?」
呉服屋で仕事中、蒼志はニヤケながらため息をつく私の顔を覗き込んできた。
「そんな訳ないじゃない。きちんと吹っ切れてます」
私はプィッと蒼志から顔を背ける。本当に蒼志の事は吹っ切れてるし、失恋の傷もそんなには残ってないと思う。
「じゃあどうしたんだよ?話ぐらいは聞くぜ」
「……自分でも分からないのよ。何で気分が落ち込んでいるのか」
「何だよそれ。どうしようもねぇな」
そんな事言われても本当なんだから仕方ないじゃない。どうしちゃったかな、私。
そんな会話をしていると、呉服屋の戸が開きお客様が入ってきた。
「いらっしゃいませ」
私と蒼志はパッと瞬間的に笑顔になりお客様を迎え入れる。
「こんにちは」
呉服屋に来たのは奏多さんだった。いつもの甘いフェイスでニコッと挨拶すると、用事があって来たのか蒼志と何やら話をしている。私は少し離れたところで二人を見ていた。