許されるなら一度だけ恋を…
「美味しい」

温かい紅茶を飲みほっと一息つくと、何故だか自然と笑みが溢れた。

「たまには抹茶以外もいいですよね」

そう言って奏多さんも紅茶を口にして笑みを浮かべた。

「桜さん、何か食べたい物はないですか?夜は外に食べに行きましょう」

「食べたい物ですか?えっと……」

京都の名物料理って何だろう。せっかくだから食べたいけど思いつかない。

「あっ、お豆腐を使った料理が食べたいです」

前にネットを見てたら、京都の豆腐料理があって美味しそうだなって思ったのを思い出した。

「豆腐料理ですか?確かに美味しいですけど、豪勢に懐石料理とかでも良いんですよ?」

「いえ、前から食べてみたいと思ってたんです。ダメですか?」

「良いですよ。それでしたら家の近くに美味しい豆腐料理の店がありますから、そこに行きましょうか」

「楽しみです」

私はまた紅茶を口にする。この時はまだこれから起きる出来事など知る由もないので夕飯までの間、奏多さんとマッタリと話をして過ごした。
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