許されるなら一度だけ恋を…
「奏多さんを探してますけどいいんですか?」
マナさんの廊下を歩く音がどんどん近づいてくる。私が奏多さんの方を向くと、奏多さんは人差し指を口に当て『静かに』というようなポーズをとった。
「もう、奏多どこ行ったんやろ」
そう言いながらマナさんは私達がいる部屋の横をパタパタと通り過ぎていく。
マナさんが通り過ぎたのを確認すると奏多さんはスッと立ち上がり、テーブルに置いていたお盆を持った。
「そろそろ行かなあかんな」
『はい』と返事して私も立ち上がる。結局奏多さんの問いに答えないまま、二人で野点の行われる場所まで歩いた。
場所は一ノ瀬家の敷地内だ。離れにある茶室の前に広がった緑の上に、赤の野点傘と緋毛氈を被せた床几台がベンチのようにいくつか並んでいる。
今日は顔見知りがお茶を嗜むだけの茶会らしく、少人数で行われるらしい。
「奏多さん、私は何を手伝いしたら良いですか?」
キョロキョロしながら私に出来そうな仕事を探す。受付とかかな。
「手伝いはええねん。桜さんはずっと俺の隣におってな」
「えっでも」
奏多さんはニッコリして私を見る。その笑顔に何も言えなくなった。
マナさんの廊下を歩く音がどんどん近づいてくる。私が奏多さんの方を向くと、奏多さんは人差し指を口に当て『静かに』というようなポーズをとった。
「もう、奏多どこ行ったんやろ」
そう言いながらマナさんは私達がいる部屋の横をパタパタと通り過ぎていく。
マナさんが通り過ぎたのを確認すると奏多さんはスッと立ち上がり、テーブルに置いていたお盆を持った。
「そろそろ行かなあかんな」
『はい』と返事して私も立ち上がる。結局奏多さんの問いに答えないまま、二人で野点の行われる場所まで歩いた。
場所は一ノ瀬家の敷地内だ。離れにある茶室の前に広がった緑の上に、赤の野点傘と緋毛氈を被せた床几台がベンチのようにいくつか並んでいる。
今日は顔見知りがお茶を嗜むだけの茶会らしく、少人数で行われるらしい。
「奏多さん、私は何を手伝いしたら良いですか?」
キョロキョロしながら私に出来そうな仕事を探す。受付とかかな。
「手伝いはええねん。桜さんはずっと俺の隣におってな」
「えっでも」
奏多さんはニッコリして私を見る。その笑顔に何も言えなくなった。