怖いパターン
台所の引き違い窓の前に立った。透かしガラスの向こうでは何が揺れている。小さいものではない何かに、釘づけになる。

汗の滲む手を伸ばし、ドアノブを握った。

強く握ると、空転してしまいそうだ。

深呼吸を一つ、手首をひねりながらドアノブをまわした。鍵はかかっていない。

誰も住んでいない、暗がりの部屋。ただ軋む音はいまだにしている。

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