怖いパターン
軋む音の他に、かちかちと歯ぎしりしている。

床やシンクにどろどろとした粘着性のある液体が落ち、鈍い音を響かせる。


僕はそのまま立ち尽くした。

垂れ下がる人はゆっくり、僕を正面に捉えた。

鬱血した顔、橙色に変色していた。目は白濁し、完全に光を失っている。

口許は痙攣を起こしている。歯肉は傷だらけになりだらしなく赤い液体がまた落ちた。

性別判断できないぐらい姿。腕がしずかにあがり、僕を欲しがるように伸びてきた。

「かわって……くれよ……」 


その声で男だと判断できた。

次の瞬間、僕は大声を出したが、血の気が引くような感覚の直後、ブラックアウトした。


〈了〉
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