未来の種ーafter storyー
「優…」

優くんが教師、と聞いて、初めは驚いた。紫ちゃんの血を濃く受け継いで、ピアニストとしてのイメージしかなかったから。

でも、意外なことに、優くんには教師の資質があったみたいだ。

聖くんにしてみたら、実の息子みたいな存在だもんね。これは嬉しいだろう。
坂上の教育者の血なんだろうな。
それが優くんにも受け継がれているんだわ。

「遡れば、結衣子先生……いやお義母さんにも、感謝してます。」

「私⁉︎ 」

「俺がピアノを続けてきたのは、やっぱり美衣子がそばに居てくれたからで……お義母さんが、いつも美衣子とそばにいられる環境を作ってくれた。
それに、お義母さんがいなかったら美衣子は存在しないわけでしょう?」

「……まあ、そうなるわね。
私が産んだんだもの。」

「それだけじゃないです。
美衣子、お義母さんにそっくりですよ。
優しくて、包容力があって…」

「最近、姿形までそっくりだよな…」

え、そんなに似てる?

「そ、そりゃ、娘だからね? 
申し訳ないけど、顔とか体型は似ちゃうわよ。」

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