未来の種ーafter storyー
ガラッ


「失礼します…っと、ん? 優?
あれ…今日は結衣子先生の日だったか?」

「フフフ…同じ質問ね。どうぞ、校長先生? 古い方でごめんなさい。メグ先生にご用だった?」

「いや、そういうわけでは…。」

「幼稚園から連絡があったのよ。陽平くんが熱を出したから迎えにきて欲しいって。だから急遽私が代わりに来たの。」

メグ先生こと、藤田恵(ふじためぐみ)先生はこの学園の養護教諭。私にとっては息子のお嫁さんにあたる。そして坂上校長こと、坂上聖(さかのうえしょう)先生にとっては実の娘だ。

「大丈夫なのか? 熱って…」

「ええ。今クリニックで点滴をしてるわ。熱中症で間違いないみたい。この炎天下にマスクはキツいわよね。仕方がないんだけど。」

年始から始まった感染症ウイルスの蔓延で、マスクなしでは外を歩けない。自宅以外の場所では必ずマスクを付けなければならない生活が続いている。
二学期が始まったところの9月上旬。まだまだ日中は30度を超す気温が続いている。そんな中、マスクをつけ続けるのは大人でも苦痛だ。だから今年は例年より熱中症になる園児や児童が多い。
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