未来の種ーafter storyー
明かされた事実は思いの外重くて、俺はかける言葉が見つからなかった。

もし俺が同じ立場だったら…。

離れていた3年の間に、本当に美衣子に相手ができて結婚していたら、俺はどうしただろう。

ピアノどころじゃない。美衣子が永遠に手に入らなくなるなんて、考えられないよ。そんな事、耐えられるはずがない。俺、気が狂っていたかもしれない。

「…優? なんだよ。お前がそんな顔するなよ。この世の幸せを独り占めしてるくせに。
お前はちゃんと美衣子の元に帰ってきて、美衣子を幸せにした。立派だよ。」

そう言って公親は少し寂しそうに笑った。
俺に出来ることは何もないけど、公親が憧れだと言ってくれるなら、これからもその言葉に恥じないように、美衣子を幸せにしていきたいと思う。

「あー! 俺も幸せになりたーい! 
でもなー。この仕事、マジで出会いがないんだわ。
そういうわけで、美衣子に頼まれて幼稚園の手伝いに行くのは、俺にとって渡りに船なわけ。出会いのチャンスなんだよなー。」

「あー、幼稚園は若い独身の先生多いもんね。」

「そうそう。今アンテナ張り巡らせてるの。」

そっか…。
公親にも春が訪れることを願うばかりだ。



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