未来の種ーafter storyー
「ピアノ、楽しい?」

「うん! 楽しいよ。
ねぇ、ココアブラウンの君はゆーひのおへやが好きなの?」

ゆーひのおへや……夕日のお部屋か。
…C室のことだな。

坂上ピアノスクールにはピアノ室がA室、B室、C室と3部屋ある。
このC室だけが西向きで、レッスンのピークである夕方はとても眩しい。
楽譜が見にくいし、カーテンをして、エアコンで調整していても暑く感じる。
そのためあまり人気のない部屋なんだ。特に講師に。
だから空いていることが多く、俺はよくそこで練習をしている。
肌が白く、日に焼けるとすぐに真っ赤になる俺には、夕日くらいがちょうどいい。

「うん。夕日のお部屋はお気に入りなんだよ。よく知ってるね?」

練習しているところを見たのだろうか。

「だって、キラキラしてたもん。
ねぇ、王子さまのカッコはしないの?」

「りさ、この人は小学校の先生なんだぞ。」

さっきの小学部の男の子だ。
この中で唯一の小学生。3年生くらいだろうか。

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