未来の種ーafter storyー
あれか。あの時のか!!
……実践しやがったな。
クソ〜〜! 母さんも止めろよ!

《 『あら、それいいんじゃない?
所属は坂上ピアノスクールにしてね。
いい広告塔になりそうだわ。』 》

…いや、あの人も結構ノリノリだったな。

スマホから流れてくる『子犬のワルツ』を聴きながら、はらわたが煮え繰り返りそうだった。

待てよ。『子犬のワルツ』? 

ひょっとして、昨日美衣子が聴いていたのって…これか⁉︎

目眩がするのを感じた。

「ねぇ、ココアブラウンの君?
今度はね、王子さまのカッコしてほしいの。
ゆーひのおへやで、王子さまのカッコしてピアノひいて?」

「り、りさちゃん…それは…」

「りさ、先生もお忙しいんじゃないかしら?」

りさちゃんの母親が、気の毒そうに俺を見る。

「先生、その…なんて言ったらいいかわからないんですけど、これだけの登録数を獲得すると言うことは、すごいことだと思うんです。
その…紫先生はいつも息子さんのお話をよくされているんですよ。
今、NYに留学してるんだって。
ジュリアードで頑張ってるんだって。
そうおっしゃってましたよ。
ご自慢の息子さんなんだなって、皆んな言ってたんです。微笑ましくって。」
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