未来の種ーafter storyー
本当は検診について行きたかったけど、今は妊婦本人しか中に入れないらしい。
感染症予防のためだ。仕方がない。
きっと出産も、立ち合いは無理だろう。
でも、無事に元気に生まれてくれればそれでいい。

「特に問題なく、順調に育ってるって。」

「そうか! 良かった〜!」

それは何よりだ。疲れ果てて帰ってきたのに、ウソのように体が軽くなる。

「いいか? 絶対に無理するなよ? 
順調だからって、園児を抱っこしたり、」

「してないって。
愛先生が子供達にちゃんと話してくれているから、皆んなお利口さんよ?」

「…そうか。ならいいけど。
気をつけろよ。」

公園で聞いて、これだけは速攻で確かめないと、と思っていたことだ。
良かった。
さすが叔母さんだ。

公親のことは話すつもりはない。夫婦の間で隠し事はしたくないけど、他人のプライバシーは別だ。
あれはきっと、櫂人さんと俺しか知らない話だ。
だから俺も美衣子に言うつもりはない。

でも、もう一つの方はちゃんと話さないとな。


< 52 / 95 >

この作品をシェア

pagetop