未来の種ーafter storyー
「よくあることなんだよ。
こういう時、殆どの場合、奥さんの方が肝が据わっている。
腹を切るのは奥さんの方なのに、旦那の方が腰が引けてるんだよ。」

「そうなの? 本当にその通りね。」

「なんだよー。ミイが痛い思いするのがイヤなんだよ。」

「自然分娩だってかなり痛いんじゃない? 
とにかく! 帝王切開は来週って決まったの。」

「来週⁉︎ 」

「ああ。予定帝王切開の場合は38週くらいが望ましいんだ。胎児の成育具合と、陣痛が起こるまでの余裕を持った最適の時期を考えると38週なんだよ。」

「……」

「優、大丈夫だ。ちょっと早く子供に会えるだけだ。」

「…うん。昇ちゃん、宜しくお願いします。」

「おう。じゃあこれが同意書だ。全部ちゃんと読んでくれ。
同意したらサインは…今もらっとくか。
それと、手術室の前は優しか待てない。
うちの両親は心得ている。
坂上の両親には伝えてくれ。
申し訳ないけど、身内は1人って決まってるんだ。」

「わかった。それはうちも理解してると思う。」





こうして、私は5日後に入院し、予定帝王切開で出産することになった。



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