未来の種ーafter storyー
『ね、どっちだったの?』

「男の子だよ。」

《かせっ》という声が聞こえる。

『男かー! 優、よかったな!』

「うん。すっごく小さくて、可愛かった。」

『会えたのか⁉︎ 』

「ガラス越しにだけど、会えたよ。
今からそっちに行くよ。写真も撮ったから。」

『ああ、待ってるぞ。』

俺は藤田家にも電話を入れて、そのまま実家へ行くことにした。









「ほら、これだよ。」

ガラス越しに30枚は撮った写真を、2人に見せる。

「うわ! 可愛い〜〜!
本当に産まれたてって感じね。」

「ああ、小さいな。
本当に産まれたんだなぁ…」

いつもふざけたことばかり言う父が、少し涙ぐんでいるようだ。

「それで、ミイちゃんの様子は? 
無事なのよね?」

「もちろん。出てきた時は麻酔が効いてたけど、ちゃんと話ができた。
俺よりずっとしっかりしてたよ。」

「ミイちゃん、偉いわねぇ…。」

「赤ちゃんが出てくるまでは、すぐだったんだ。中に入って30分くらいで『産まれましたよ、男の子です。』って、看護師さんが知らせに来てくれたから。
でも、それからの方が長かったかな。
ずっと待ってたら、美衣子が出てきた。」
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