未来の種ーafter storyー
「わかるよ、それは。
俺も一緒に考えられて嬉しいよ。」

『…うん。』

「俺は別にさ、この子に音楽を押しつけたりはしないよ。この子にはこの子の人生がある。やりたいことをやって欲しいと思ってる。
でも、俺達夫婦の間に、いつも音楽があったのは事実だ。
ずっと小さい頃から2人でピアノを楽しんできた。俺達はいつも、2人だけの音を奏でてきたんだと思うんだ。
だから、そんな俺達の子だから奏を選んだのもある。
それに、この子にはこの子の人生を豊かに奏でていって欲しいんだ。
うん、そっちの方が1番の理由かな、奏を選んだ…」

『優…良かった。
私もね、この子にはこの子の人生を歩んで欲しい。
本当は、音楽を押し付けちゃうんじゃないかと思って、迷ってたの。』

「言っただろう?」

『うん。人生を豊かに奏でるか〜。
いいね。そうなって欲しい。
…奏…良かったね。良い名前だね。』

そう言って、美衣子は奏の頬をつついた。

「坂上奏(さかのうえそう)か…うん、良い名前だな。俺も早く抱っこしたい。」

『すぐだよ。4日後、迎えにきてね?
ねー、パパ?』

パパ!
うわー、嬉しいぞー。






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