もふもふな聖獣に反対されても、王子は諦めてくれません
5.旅立ち
「さあ、話はつきました。殿下は執務室へお戻りください」
不満顔のエリックは有無を言わさず追い出され、マリーはイーサンとふたり。
「あのー。私も明日から聖獣の世話係の仕事があるみたいなので……」
自然な流れでお暇しようと思ったのに、そう上手くいかない。
「マリー様、今晩のご予定は?」
「特に……なにもありませんが」
どうしてイーサンに、予定を確認されなくちゃいけないの。これも監視の一環?
「それでしたら、晩餐にご参加くださいませ」
仰々しく頭を下げて言うイーサンに、警戒心を抱く。
「なんの、晩餐でしょうか」
嫌な予感がして仕方がない。
「エリック様の婚約者候補を、一堂に介したものです」
声を詰まらせ咳き込むマリーに、イーサンは追い討ちをかける。