もふもふな聖獣に反対されても、王子は諦めてくれません
軽く貶している発言に、空気がピリついたのがわかった。
お陰でやっと忘れていた恐怖を思い出し、震え上がる。
目の前で剣を抜かれて切り捨てられるとか、見たくないんですけど!
鞘で脅された数時間前が頭に浮かび、心臓が縮む。
「イーサン。怯えさせて楽しんでいるのか。お前が殺されるのを、目の当たりにはしたくないだろう」
血生臭い発言を聞き、サーッと血の気が引く。
どこか余裕顔のイーサンを窘め、頭を無理矢理にでも下げさせたい。
"わたくしめが血迷っておりました。どうぞ寛容な処罰を"って早く言ってくださいよ! お願いだから!
頭の中では、ワーキャー騒いでいるのに、実際は池の鯉みたいに口をパクパク動かすばかりで声にならない。
「殿下も冗談が過ぎます」
冗談なの?
ブラックジョークにしては、真っ黒なんじゃない⁉︎