もふもふな聖獣に反対されても、王子は諦めてくれません
イーサンは青い顔をしているマリーを視界に収めてから、肩を竦め恐ろしい言葉を口にする。
「嘘か誠か。どちらにしても断れませんよね? あなたさまには、秘密を知られてしまっている」
「なにを……ですか?」
秘密なんて知らないし、例え知っていたとしても墓場まで持って行きます!
なにか恐ろしいことが起こる前触れを感じ、胃が痛くなる。
エリックとイーサンは目配せをしてから「こちらへ」と部屋を出て歩き出した。
何個目かの扉の前で立ち止まり、その扉を開く。
部屋の奥には、見覚えのあるふかふかのベッド。
そして丸くなって眠る薄いグレー色のハスキー犬。
「この子は……」
「カーティス。エリック様の聖獣です」
もしかしたらという仮説が正しかったと知り、言葉を詰まらせる。
その上、エリックにまで質問される。
「どうしてカーティスが俺の聖獣だと思った?」
「それは……」
そう問われると、返答に困る。
誰が見たって、エリックの聖獣とは考えないだろう。
エリックは成人している。
その王子の聖獣にしては幼過ぎる。
そしてなにより、色が……。