もふもふな聖獣に反対されても、王子は諦めてくれません

 ユラニス王国では魔力を持つ者は優遇され、どんな階級の人間でも学校に通えるし、職業にも困らない。

 ヒーリング魔法が得意なマリーは治療士としてのヒーラーにもってこいなのだ。
 もふもふ好きとしては、動物に囲まれる職場を選びたかった。

『魔力が強いせいで、治療されるのが怖いんじゃない?』

『そんなことってある? ビビッと治っていいこと尽くめじゃない』

 魔力の大きさなら、多少の自信があった。魔力が大きければヒーリング魔法の効き目がいいと喜ばれるとばかり思っていたのに、考えていなかった指摘に目を白黒させる。

『あー確かに。マリーの治療は荒治療というか』

 数人が目を逸らし、唯一逸らさなかった友人には憐れんだ目を向けられ、肩にポンポンと手を置かれた。

『動物って、本能的にわかるのね』

 すん、とした空気に包まれ、マリーはガックリと項垂れるのだった。

 魔力が強大な者もいれば、微弱な者もいる。
 そのため我が子の魔力が強いとわかると、親は歓喜する。
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