もふもふな聖獣に反対されても、王子は諦めてくれません

 孤児院育ちのマリーも同じ。
 魔力が大きければ大きいほど職に就きやすく、孤児院の大人たちに喜ばれる。

 いい施設だった。
 本当の家族みたいに温かくて。

 だからこそ施設には頼れない。
 心配はかけられない。

 マリーは強力な魔力が備わっていたにも関わらず、最後まで就職先が見つからなかった。

 そんな頃、野生動物が怪我をしていたところに出会(でくわ)し治療した。
 その経験から治療士を選べないほど重症であるのなら、治療できるのではと思い立ち、野戦病院の職を希望した。

 思えば初めてヒーリングを使ったのも、たまたま倒れていた動物を助けたときだった。
 初めての魔法で本当に助けられるのか不安だったけれど、元気になったときは嬉しかった。

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