トンネル
「こら、馬鹿息子よ!!半裸で彷徨くな!!」
ビックリして、振り向くと母さんが玄関とリビングの扉の間に佇んでいた。
「ばっ…母さん、おはよぅ。」
「今、婆ぁって言いたかったのかい?」
「めっそうもない!」
「あ、久美子さん!おはよぅございます!」
「おはよぅ、紗理奈。夏バテしてないかい?」
俺に対する態度と表情がまったく違うぜ…
笑顔で言葉を交わす二人を背にテレビに視線を向けた。
「あ、そうだ。あたし、ちょっと台湾に行ってくるから、後宜しく!」
「はっ、はぁぁぁ?!!」
俺が驚き、振り替えると母さんの姿は玄関にあり、慌ただしく出て行ってしまった。