トンネル
――――――…
紗理奈を働いている料亭に送り届け、俺はマジェスティで軽く街を流していた。
喉の渇きに耐えかねて、目についたコンビニに入った。
夏のコンビニは外との温度差が半端なく違う為、じっとりかいた汗が急に冷えるのを感じる。
レジで清算を終えて外に出た瞬間、ジーンズのポケットに入れた携帯が着信を伝えた。
画面には、『スナック綾子』の文字と11桁の番号が表示されている。
「はい。」
「建ちゃん!今から来れるかしら?オーナー、また海外でしょ?ちょっと、込み入った用があるのよ!」
「わかりました。」
短い会話で携帯を切り、またジーンズのポケットに携帯を押し込んだ。
「また、面倒くさい事がありそうな予感だ…」
そう呟き、愛車のマジェスティのエンジンをかけた。