トンネル


暫くボーっとテレビを見ていると、軽快なリズムで携帯が鳴り出した。


「はい。」


着信の相手は予想していたので、画面を確認せず出た。


『たっ、大変ですよ!健二さん!また社長が…』

案の定、母さんの秘書からだった。


「知ってる。さっき、俺ん所来た。」


『あ〜、じゃぁ、話は早いですね!今、迎えの車出したのでお待ちしてます!』

一方的に切られた電話。


また、忙しくなるな…。


俺は、携帯メモリーから今の彼女の名前を探しメールをした。


【お袋がまた海外に行ったから、当分仕事になりそう。少し我慢出来るか?】


俺にしたら、極甘な言葉だ。
自分で打ってても吐き気がする。


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