保健室で、君と最後のキス
ーHRも終わり、遂に放課後になってしまった。
私は言われた通りに人気の少ない校舎裏へと向かう。
こっち側は正門と比べてだいぶ薄暗く、どこか不気味な空気が漂っている。
あまり来たことがないから、一人だと少しソワソワしてしまう。
ここで合ってるよね?
校舎裏、と呼べるであろう場所に来たけど、八神くんの姿は見当たらない。
もう約束の時間なのに…まさか忘れ
不安に駆られ辺りを見渡そうとしたその時、私の右肩に 何か がそっと触れた。
「なに!!?」
咄嗟に 何か の方へ振り返ると、そこには右手で私の肩を掴む八神くんの姿があった。
「や、八神くんかぁ…」
私がホッと胸を撫で下ろす姿を見て、楽しそうに笑う八神くん。
って、早速遊ばれてる。
「予想通りの反応」
この人、結構意地悪?
昼休みといい私の事からかってくるし。
一旦気を取り直して、私は本題へと話を移す。
「それより、ちゃんと来たんだから辞書返してくれる?」