保健室で、君と最後のキス
「しっかり掴んでてね〜」
そう言ったと同時に猛スピードでペダルを漕ぎ始める日向。
「ちょっ、日向!?」
本当に早い。ジェットコースターに乗ってる気分。
それは言い過ぎかもしれないけど。
少し、というかだいぶ恥ずかしくて日向の体に触れられない。
そのかわり、背中をちょこんと掴む。
それだけでは不安定すぎて、今にも落ちそうになってしまう。
ちょうど今の赤信号での急ブレーキも、バランスを崩せば落ちるところだった。
ひとまず止まっているうちに、いい位置に移動しなきゃ。
体を動かしていると、それに気づいたのか日向がこちらを振り向いた。
「だから、しっかリ掴まっててよ」
ムッとした表情を見せたと思いきや、私の両腕を自分のお腹のところへ持っていき、がっちりと強く掴ませた。
「え、ひ、日向?」
この体勢は色々と困る…。
絶対に心臓の音が伝わっている。
わかりやすく説明すれば、太鼓の◯人の連打をしているときほどの早さ。