保健室で、君と最後のキス





「立花ちゃんも、おはよ!」




そんなことに気づくこともなく、日向と同じ太陽のような笑顔で私に挨拶をしてくる葵先輩こと来栖 葵。一つ上の高校2年生。





誰もが憧れる顔、スタイル、ゆるく巻かれた茶色の髪の毛をいつも後ろで一本に結んでいる。





そんな可愛らしい見た目に加えて、バスケ部のマネージャーとして部員を支えている。






「おはようございます」




私は鞄の持ち手を強く握りながら、笑顔で葵先輩に挨拶を返した。





「あ、そーいえば日向!今日のトレーニングなんだけど…」




ちょいちょい、と何かの用紙を持って手招きをする葵先輩。





「え、また変更なんですか〜?」



「そうなの、部長がもっと鍛えなくては!って言ってさこの紙にまとめてあるから」



「葵さんこれはキツすぎますよ〜!」





今は完全に私が入れない話。




そう、日向はバスケ部なのだ。




葵先輩が挨拶をしたのも、いまこうして2人で話しているのも、日向がバスケ部だから…。



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