リアルな友達
飲み物を注文して僕は彼女にこう言った。
「君、名前は?」
「知らないやつなんかに名前なんて教える気ねぇよ…お前こそ、人に聞く前に自分の名前名乗ったら?」
「あっ。ごめん…」
ぶっきらぼうな彼女はやっぱり苦手だ。
「僕の名前は桜井良則、17歳で…す…」
彼女の顔色を窺いながら言った。
その時、僕が注文したコーヒーと彼女が注文した紅茶が運ばれてきた。
「ごゆっくりどうぞ」
やはりここでも愛想笑い。
僕が不登校になって僕が15歳の時兄貴が家を出て行くまでお袋は申し訳なさそうに愛想笑いしてたっけ。
お袋は頑張って笑っていようとしていたようだけど僕は全てわかっていた。
お袋の偽の笑顔を見る度に自分の存在が両親を苦しめているんだと思った。
だから愛想笑いは嫌いだ。
辛くなる。無理やり笑うくらいなら笑わないで欲しい。
そのほうが僕にとっても楽だし、両親にとっても楽なんだと思った。
だから、僕は兄貴が家を出てから自分の部屋に閉じこもるようになった。