君と友達な私の、赤い毛糸が繋がらなくても
一つのちっちゃい本棚の前で、
制服と制服が擦れ合う距離。
「あ、これとか?俺が好きなやつなんけど。」
「ありがと!」
背の低い私と、背が高い彼の目線がおんなじ距離にあること。
それだけでもういっぱいいっぱい。
「じゃあ、俺も借りるわ。」
「え?」
「‥おすすめの本、教えて?」
元々細くてキュッとした目を、
クシャッと細める笑い方。
「うん‥。」
頷いて、目を逸らすのに必死だったんだ。
「なにこれ、面白そう。」
貸し出しレジの横にある、持ち出し禁止のおっきい本。
持ってた本を小脇に抱えて、
重たいその本をパラパラめくってみる。
タイトルは、
確か、偉人の誕生日365日‥みたいなのだった気がする。
「まじなにこれ。」
「貸して?」と言うと、
私が両手でやっと持てた本を片手で軽々掴んだ彼。