魔法使いは、恋の色に染まる
「……圭介くん……いや、カミルくんにお願いがあるの」

「元の世界に帰るから、協力してほしい……ですよね?」

圭介……いや、カミルの言葉に私たちは驚いた。

「……家にある魔導書で、魔法を使った時……何だか懐かしくなって、たまたま見つけた日記を読んで……すべて思い出したんです。僕は、10歳の時にこの世界に来て、今は亡くなっていないんですけど、優しい夫婦に拾われたんです……僕の前にも、魔法使いの子を拾ったみたいで……その子は、普通の魔法使いよりも強い魔力を持っていたので1人で元の世界に帰ったみたいなんです」

カミルは一呼吸置くと、話を続ける。

「その方法を記した紙を、前にもらったんですよね……でも、普通の魔法使いでは数人の力が必要なんです……これくらいの人数なら出来るし、魔法使いのことを話さないと、魔法が使えない……だから、そうなのかな……って思って」

カミルは、服のポケットから1枚の紙を取り出した。紙を開いて両親に見せると、両親は「すごい……」と紙を見つめる。

「……協力しますよ。僕も向こうの世界に帰りたいし」

そう言って、カミルは私と目を合わせると優しく微笑んだ。



「……ここがお母さんたちが暮らしてた世界……」
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