魔法使いは、恋の色に染まる
「……っ」
数日後の朝、私が町を歩いてると誰かに腕を掴まれた。
私の腕を掴んでるのは、知らない男性。男性は、顔を赤くしてニヤニヤと笑ってる。正直言って、気持ち悪い。そして、「一緒に遊ぼう」ってしつこい!
「お姉ちゃん……お願いだから、俺と一緒に来てくれない?」
「何度も言います。嫌です……離してください!」
「それは、無理なお願いかな」
「……その手を離せ」
どこからか声が聞こえてきて、私と男性は声がした方を見る。そこにいたのは、黒い杖を手にしたカミルだった。
「……僕の彼女に手を出すな」
カミルは、普段よりも低い声でそう言うと男性を睨んだ。それを見た男性は、私から手を離す。
「……」
そして、カミルが近づくと男性は逃げるように去っていった。
「エミリー、大丈夫……?」
カミルは私の目の前で止まると、優しく微笑む。カミルの笑顔に、私はドキドキした。
きっと、私はカミルに恋をしている。でも、カミルにそれを伝えるのが怖い。
「……エミリー……ごめん……『僕の彼女』って言ってしまった……嫌だった?」
カミルは顔を赤くすると、私から目を逸らす。私は「嫌じゃない!」と言った後、一呼吸置くと口を開いた。
「ありがとう。私、嬉しかった!……助けて欲しかったから……」