私が聖女?いいえ、悪役令嬢です!2~生存ルート目指したらなぜか聖女になってしまいそうな件~
2 王女ガリーナ
イリスたちはそろって学園長室の前にやってきた。
威厳ある大きなドアの前には、カミーユ・ド・サドがすでに待っていた。
カミーユは、庇護欲をかき立てる子犬のような目をした少女である。『ハナコロ』のヒロインであり、先日、聖なる乙女の審査にて、次代の聖なる乙女として認められたところだ。
晴れ渡った青空をそのまま写し取ったような髪に、同じく澄んだ空色の瞳を持つ可憐で優しげな少女だ。
しかし、養父母によって下町で育てられた彼女は、まだまだ貴族的な振る舞いが身についておらず、今は実父サド伯爵のもとで、令嬢として一から学び直しているところだった。
強い魔力を持ちながら奢らず、伯爵令嬢として、次代の聖なる乙女として、ひたむきに頑張る姿はこれぞヒロインといえた。
カミーユはイリスたちを見て、ホッとため息をついた。
下町生まれの彼女にしてみれば、他国の王女との接見など恐れ多い。それなのに、学園生活のサポートを任されるなど、どうしたらよいのかわからなかったのだ。
「イリスさまぁ」