私が聖女?いいえ、悪役令嬢です!2~生存ルート目指したらなぜか聖女になってしまいそうな件~
トトトとイリスに駆け寄り、手を取るカミーユに、レゼダとニジェルが思わず視線を交わす。

「私、どうしたらいいのか・・・・・・。次代の聖なる乙女として外交が大切なのはわかっています。でも、マナーなんてまだまだだし、自信がありません」

「実は私もよ」

イリスは苦笑いした。イリスは、幼い頃から貴族社会から差別され、まともな社交はしてこなかった。最近になってやっと、令嬢たちのお茶会に招待されるようになったばかりなのだ。

レゼダの妻になるために一生懸命学んではいるところだが、圧倒的に経験が足りていない。

「気にすることはないよ。それに、クリザンテム学園へ留学に来たんだ。ここでは身分差は問わないし、外交が主の目的ではないと聞いている」

レゼダは優しく言うと、励ますようにイリスの背中をポンと叩いた。

「それに、僕もいる」

レゼダにニコリと微笑まれ、キュンとするイリスである。

ニジェルは横目でそれを見つつ、ため息をついた。

「では行きましょう」

ニジェルの言葉でレゼダがドアをノックした。入室の許可を得て、ニジェルがドアを開けた。

「失礼します」

< 11 / 26 >

この作品をシェア

pagetop