私が聖女?いいえ、悪役令嬢です!2~生存ルート目指したらなぜか聖女になってしまいそうな件~
メガーヌとは昨年までイリスたちと同じ学園で一緒に学んでいた生徒だ。父のデュポン男爵が聖なる乙女候補者を利用しようと、周囲を騙しカミーユを養女としていたのだ。その罪を精算するために、メガーヌは退学してしまった。

きっとメガーヌの友人で、私の話を聞いていたのね。

そう納得し、イリスは世間話に応じる。

「ええ、転入生なのかしら?」

「彼女は南にあるヴルツェル王国の第一王女、ガリーナ・ヴォン・グラディオーレン殿下だよ」

「美しい方ですね」

「そして聡明なんだって。ヴルツェル王国は代々女王が国を治めてね、彼女は次期女王といわれている。王女たちは十六になったら周辺各国を遊学して、婚約者候補を探すと噂だよ。王配となるにふさわしい男を他国より選ぶのが習わしなんだって」

「詳しいんですね。ありがとうございます」

詳しく教えてくれる男子生徒に感謝する。

「あの、それで、あなたは? メガーヌさんのお友達ですよね? 適性検査ではお見かけしなかったと思うのですけど……」

眠たげだった男子生徒は、イリスの問いにヒュっと息をのみ目を見開いた。

イリスが不思議そうな顔をすると、さっと笑顔に戻る。

「ご挨拶が遅れました。ジャス・ド・ルノワールです。病弱のためあまり学園に来られずに、留年してしまったので、同じ適性検査を受けていないのです。私は一つ年上です。イリス嬢、お友達になっていただけませんか? メガーヌ嬢の話ができる友人が少なくさみしく思っているんです」

イリスはその言葉にパァァァと笑顔になった。元々イリスは友達が少ないのだ。
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