私が聖女?いいえ、悪役令嬢です!2~生存ルート目指したらなぜか聖女になってしまいそうな件~
レゼダは悩ましいほど美しいのである。

薔薇の花びらに転がる朝露のようにきらめく瞳。ピンクダイヤモンドから紡ぎだしたかのような朱鷺色の髪。つるりとした傷一つない白い肌に、神殿に飾られた彫刻のように整った造形。 

「どうしたの? イリス」

自分の美しさに無自覚なレゼダは、不思議そうに微笑んでイリスの顔をのぞき込む。レゼダの長い睫に春の日差しがきらめいてとても綺麗だ。

あまりの距離の近さに、イリスはウッと息をのみ、怯んだ。

その様子を見た周囲の女学生たちが歓声を上げる。

「いえ、なんでもありません。ちょっと暖かくて顔が火照るみたいです……」

モゴモゴとイリスは答えた。本人に「レゼダが大人っぽいからドキドキした」だなんて、口が裂けても言えない。

「ピンクのホッペもかわいいね」

まるで朝の挨拶のようにレゼダが言って、イリスは返答に窮した。ニジェルはそれを横で聞き、わざとらしくため息をつく。

レゼダ様のほうがかっこいいくせに……。

またも口には出せないことを思うイリスである。

「なにを見ていたの?」

「あの方たちはヴルツェル王国からの留学生なのですよね?」

イリスは赤い髪の女生徒を目で追いながら尋ねる。
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