ごめん、好き。
「嫌なことを思い出させるより、それから離れた方がいい。まあ、女性は話した方がスッキリするって言いますけどね」
「………」
「あなたをあの場所から連れ出したのは放っておけなかったから。ただそれだけですよ」
背を向けているのは、きっと彼の優しさ。
気兼ねなく食べれるように。
丁度いい距離を保つために。
見ず知らずの人なのに、どうしてそこまでしてくれるの?
どうしてそんなに優しいの?
彼の優しさが……心にじんわりと溶けていく。
さっきまで味なんてわかんなかったのに、シュークリームが美味しく感じる。
ポタリと手の甲に涙が落ちた。
1度零れてしまえば止まらなくて。