ごめん、好き。
なっ……!!
「そんなことっ……!!」
図星を突かれ、反論しようと思った。
だけど左手に見えた銀色のモノに、私の感情は移動してしまったんだ。
そして不思議と落ち着きも取り戻してくる。
「お互いの為にも無かったことにした方が良いと思います」
まさか、結婚していたとは。
平野さんと会ったのは約半年くらい前。
芸能人のスピード結婚じゃあるまいし、半年の間に相手と出会い、結婚までいくとか絶対ありえない。
となると、平野さんは相手がいるのに私に手を出したと言うわけで。
……最悪。
私の視線に気付いた平野さんは、リングを隠すように左手をポケットに入れた。