ごめん、好き。
その瞬間、身体の奥がキュッと締め付けるような感覚がして。
囁くような声とその指先を──…身体が覚えてる。
……っ。
ずるい。そんな不意打ち。
急に優しさを出されたら、あの日を思い出してドキッとするじゃない。
だめ。だめなの……。
「何その顔」
クッと顎を上げられ、平野さんの瞳が艶かしく揺れているように見えた。
そっちこそ、そんな顔して……。
もうこれ以上ドキドキさせないで。
逃げるように顔を背けてギュッと目を瞑った。
「アンタが“どうしても”って言うんだったら忘れさせてやるけど?」
耳元で声が聞こえてゾクリとした。
その瞬間私は平野さんの身体を目一杯押す。