ごめん、好き。
「あの、迷惑じゃなければ僕に付き合ってくれませんか?」
そう言った彼の目尻が少し下がっていた。
声に出さなくてもわかる。
心配してくれてるんだ。
見ず知らずの人だから、ほっとけばいいのに。
だけど、私ももう全てがどうでも良かったから“はい”と返事をした。
彼が望むのなら別にラブホに行ってもいい。
もう、何でもいいよ……。
ゆっくりと立ち上がる私に、彼は自分が羽織っている上着をかけてくれた。
バカみたいに雨に当たっていた私の身体は冷え切っていたみたいで、すごく温かく感じて。
その上着をギュッと握る。
1つの傘に2人で入り、彼が進む方向にただ一緒になって歩いた。