幸せになりたい神様を拾いました


「・・・うむ。これでよし。お主・・・心もとんでもなく冷えているではないか。」

「イ・・・」

ふわりと包み込むイザナギの腕。

包み込まれているのに、重さも苦しさもないイザナギの腕の中。

あるのは、温かくてふわっとした不思議な感覚と、なんとも言えない花の香のような心地よさ。

「・・・よく、生きてきたな・・・。頑張ったな、佐智。」

「!・・・や、やめて、よ・・・私の中、見ないでよ・・・」

閉じ込めていたものは何でもイザナギにお見通しで、音を立てて、痛みを伴って暴かれていく。

「すまん、俺は神様だからな、それに、佐智とは契約の印、(えにし)の糸を結んだ。ほら、見えるか?」

見えるか?と言って腕から解放されれば、私の胸からイザナギの胸へと渡る1本の金色の糸。

「冷えた魂は壊れやすい。俺の力を貸してやる。」

「・・・何これ・・・」

「おい、ハサミでは切れんぞ。」

小物入れから取ったハサミで糸をチョキチョキして見ても、目に見えない糸はハサミで触れる事はできない。

その様子を見て楽しそうにイザナギは笑う。
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