幸せになりたい神様を拾いました
「おまえは・・・不思議な子だね・・・神に性別はあるが、存在としてはエネルギー体みたいなものだ。それに、縁を結んだから佐智は俺に触れるが、そうでなければ俺はカタチはあるが実体はない。佐智の言う男としての存在とは異なる。いわば、父のようなものだ。人の子なれば、誰の中にも受け継がれている。皆、気づいてはおらぬがの。」
「・・・父・・・」
「うむ、父だな。お父様だ。」
「ふふふ・・・」
「・・・そうやって、笑っていろ。命ある事を楽しめ。悲観する必要はない。俺には見える、佐智の中にある光が。」
髪を撫でる指がまるで、風に触れられているかのように自然で、
「・・・イザナギ・・・神様、っぽいね・・・」
「・・・・・・だからそう言っておるだろう・・・疑い深いのう・・・でなかったら、こんな得体の知れぬ男、危なすぎるではないか、年頃の娘が。」
「っふ・・・お父様だ・・・(笑)でも私、もう28だよ?」
「何を言うか、たかだか28年人間として在るだけで。赤子も赤子よ。可愛い我が子よ。」
頬をつままれ、撫でられて、本当に久しぶりに他者の温もりという安心感に触れた。
その相手が人間ではないというのが、納得できるような、悲しいような・・・なんとも言えない気持ちではあるけれど。
「・・・お眠り佐智、まだ日の出までは時間がある・・・」
イザナギの腕の中で、私は夢も見ずに深い眠りについた。
温かい光の中を漂い、浮遊するような心地よさに包まれ、怖い夢も、嫌な記憶をループする事もなく、私は眠った。