幸せになりたい神様を拾いました
なんてことだ。
神ともあろう者が、これほどに人の子を愛しく思うなんて。
それ程に、穢れのない佐智の魂は透明だった。
「イザナギ・・・あったかいね。」
「うむ、そうだろう?ぽかぽかだからな、俺は。」
「ふふふふ・・・」
佐智には伝えていないが、佐智と俺とを繋ぐ金色の縁の糸によって、俺には佐智の記憶が全て見えてしまう。
だからこのように佐智が甘えたがるのも、甘えていい存在が出来て童心に返ったように俺に甘えてくるのも、幼少期に両親に甘えられなかった、愛していると伝えてくれる存在がいなかった、己の存在を認めてくれる人間がいなかった事の影響がとても大きい。
なんというか、イザナミへの変わらぬ愛情とは違う、他の人の子への愛情とも違う、なんとも言えぬ愛しさが佐智へ対して生まれつつあるも確かで、神である俺は俺なりに困惑しているのも確かだった。
「・・・イザナギ・・・」
「ん・・・?」
眠たそうに瞼が下がる佐智の髪を梳き、頭を撫でてやりながら、この寝かしつけも随分慣れたな、と穏やかな気持ちでこの時間を楽しんですらいる自分に少し驚く。
「・・・・・・イザナミに・・・早く会えるといい、ね・・・・・・」
「・・・・・・あぁ、そうだな・・・・・・」
「また、スーパー・・・行って、みよ、ぅ・・・ね・・・」
「・・・・・・おやすみ、佐智・・・・・・」
感じないはずの重みが腕にかかり、安心して眠りにつく佐智の寝顔を眺める。
「・・・佐智・・・」
返る声はなく、穏やかな寝息を立てて俺の腕の中で眠る人の娘・・・。