幸せになりたい神様を拾いました
「・・・・・・去れ。お前にくれてやる娘ではない。」
部屋の外にある気配。
ベランダの外に広がる闇よりも濃く重たい邪悪な気配に声をぶつける。
「・・・この娘の生ける魂は、お前たち死神なんぞに渡さぬ。消されたくなくば去れ。そして、二度とこの娘に近づくな。」
ザワつくベランダには複数の死神の気配がある。
しかし、この部屋に張った俺の結界で中には入る事が出来ない。
・・・小物1体では太刀打ちできないと見て、群れで来たか。
馬鹿め・・・何体で来ようと同じだ。
佐智は渡さぬ。
手を振り上げ、ベランダに向けて振り下ろす。
物理的には何も壊れたり割れてはいないが、音で表すならばガラスが砕け散るような高い破壊音が響き、俺の力を纏った光の矢が死神共に突き刺さった。
「!!な、なに・・・??敵襲・・・??」
「おぉ、すまない、起こしてしまったな、佐智・・・大丈夫だ、寝ぼけた俺が力の使い方を間違えてしまってな、氷の城を壊してしまったのだ。」
「・・・???ふぅん・・・??そっか・・・それ、は・・・女王さまに・・・怒られ、ちゃうね・・・・・・」
「ふふ・・・そうだな、怒られてしまうな。」
外の忌まわしい闇の気配は消え去っている。
俺は再度佐智を腕に抱き、自分でも信じられぬ程愛しい娘を抱き締めた。
「・・・イザナギ・・・」
「どうした・・・?」
「・・・・・・い、っしょに・・・おこ、られて、あげ、るね・・・」
「・・・ふふ、佐智は優しい子だな・・・佐智が一緒であれば、きっと女王様も許してくれるだろう。」
「・・・へへ・・・」
眠った佐智を俺はいつまでも眺めている。
この娘の眠りを妨げるものから守り、人の子を愛しむ事を楽しみながら夜を明かすのだ。